認知行動療法(CBT)第10回
第10回:もうひとりのあなたテクニック
前回は自分を大切にできない考えや行動のメリットについて理解を深めていただき、ワークを取り組んでもらいました。今回は「見てみよう、聞いてみよう調査法」について取り上げたいと思います。
前回のホームワークを提出しましょう
見てみよう調査法を実施して、気づいたこと感じたことをまとめましょう。
もうひとりのあなたテクニック
今回は「もうひとりのあなたテクニック」というものを行います。
まず、イメージをしてみましょう。『あなたにとって大切な人を思い浮かべてください(家族、友人など)。その大切な人が、あなたのそばで落ち込んでいるとします(しっかりとイメージ)。あなたはどんな声を掛けますか?
そのうえで、大切な人にかけるような言葉を、自分自身にかけてみましょう(鏡の前でやってみるのも効果的です。)どんな感じがしますか…?』
さて、いかがでしたでしょうか。どんな言葉が浮かんできましたか?
このようなテクニックを実践する意味としては、自分を大切にできない考えが強い人でも、大切な家族や友人が悩んだり傷ついたときには、その人に寄り添い、慰め、力になろうと、話をしたり何らかの行動をとるかと思います。その時に出てくる言葉を自分自身に投げかけ、気持ちをコントロールする術を身に付けて行きます。
普段、自分に対して肯定的な言葉というのはなかなか出てこなかったりします。ですが、大切な人に対しては、とても肯定的で、受容的な言葉出てくることでしょう。それは紛れもなく自分の頭で考え出てきた言葉になります。
自分にはなかなかかけられない言葉であっても、相手に向けて言葉を掛けようとすると、すんなりと出てきたりします。自分自身にも同じような言葉をかけてあげられるよう、練習をしていきましょう。
【ワーク1】もうひとりのあなたテクニックをやってみよう
・以下のセリフを大切な人が言っているとします。自分なら何と声をかけてあげますか? それぞれの問題で2つ以上何か言葉をかけてあげてみましょう。
【例1】
「私はなんてダメなんだ。」 ⇒「そんなに責めなくていいよ。」
【問題1】
「あの人の機嫌が悪いのは私のせい?」
【問題2】
「ホームワークがうまく出来ない。他の人は順調に良くなっている。」
【問題3】
「私は家事を完璧にこなさなくてはいけない。それくらいしないと価値のない人間なのだから。」
【問題4】
「一生懸命がんばったのに認められなかった。もう一生懸命やるのは やめよう。」
【問題5】
「遅刻しそう。遅刻するくらいなら、具合が悪いって言って休んでじゃおう。」
【問題6】
「私がこんなに つらいんだから、あなたは ひどい人間だ。」
【ワーク2】
自分を大切にできない考えや信念を取り上げ、実際に大切な人が同じように悩んでいると想像して言葉をかけてみましょう。2つのエピソードについてやってみましょう。
・以下の手順でまとめ、実施してみましょう。
①自分を大切にできない考えや信念をまず書き出します。
②次に大切な人が紙に書いた内容を自分に相談してきたとします。
③その人に対してなんと言葉を掛けるか考えてみましょう。実施にその人がそこにいるとイメージして言葉を口にしてみるとなお効果的です。
④言葉にしたもののなかで、自分自身で掛けた(もしくは他者からかけられた)ときに、気持ちが和らぐような、効果的なものは何だったかまとめてみましょう。
ワーク1~2を実施しましょう
ワークを実施し、内容を報告メールで送ってください。Wordファイル等をメールに添付しても結構ですし、メールに直接書いて送っても構いません。
【ホームワーク】
下記の例を参考に、もうひとりのあなたテクニックを実施しましょう。2エピソードまとめてみましょう。
(例)
自分を大切にできない考えや行動
久しぶりに会った友達は仕事も上手くいっていて楽しいと言っていた。それに引き換え自分はちっともうまくいっていない。
もうひとりのあなたテクニック
同じように悩む友達がいたらなんて声をかけてあげるかな…何も浮かばないな。「人と比べてもしょうがないぞ。」かな…。そうだ、仲のいいAさんなら「いや~これからだ。自分も今から頑張るぞ!」っていうかな。
結果(分かったこと・考えたこと)
まだ心の底では友達をうらやましいと正直思うけど、まあ比べてもしょうがない。今から頑張ろうって思えば少しは楽になるかな。