認知行動療法(CBT)第1回

認知行動療法(CBT)第1回

第1回:認知行動療法とは

認知行動療法について

認知行動療法とは、Cognitive Behavior Therapyといい、認知と言われる「ものの考え方」と、行動に焦点をあてて、自分のストレスの成り立ちを理解したうえで、不適切なパターンを変容(選択肢の幅を広げる)し、その解決を目指す心理療法です。略してCBTということもあります。

当初はうつや不安の問題を持つ人の治療法として開発されましたが、現在ではさまざまな精神疾患の治療や、メンタルヘルス向上のために広く用いられています。

パターンというのは日常のなかで習慣的に繰り返されるものを言います。認知行動療法では症状や問題行動はこのパターンが維持していると考えるため、このパターンの変容が認知行動療法の介入対象となります。

つまり、一回だけうまくできればいい、調子が良くなればいいというわけではなく、毎日の生活の中で知らないうちにパターン化しているものに対して、何度も練習を繰り返していくことを通し、パターンを変容させていくことが大切になります。

CBTにおける目標

CBTにおける最大の目標は、自分で認知行動療法を使ってストレスに上手に対応し、自身をコントロールしていくこと、つまりはセルフ・コントロールしていくことにあります。

そのため、自分は様々な刺激(ストレッサー)に対してどう反応しているのか、どのように困っているのかを上手くキャッチすることが大切になります。例えば、ある出来事に対してモヤモヤした気持ちがあったとします。その時に刺激をどのように受け取ったか、どのような感情が出てきていたのかを整理するだけでも、困っている状況とのつながりを整理することが出来ます。

そして、困っている状況が整理できることで、どのような取り組みをすればよいかが徐々に明らかになっていきます。 このように自分が置かれている状況がどのような流れで生起しているのかを整理し、適切に対処していくことをCBTでは目指していきます。

人の反応について

前述しましたが、人は様々な刺激(ストレッサー)に対して反応を示しますが、それらの反応を整理することで自分が置かれている状況がつかみやすくなります。

CBTではそのような反応を「認知、感情、身体反応、行動」の4種類に分類しており、これらの反応はそれぞれが相互に関係していると考えています。

各反応については以下のようにまとめることが出来ます。
○認知:刺激に対する考え。こころのセリフ。「うれしいな」「困ったなぁ」
○感情:気持ち、心の状態をひとことで表現したもの。不安、緊張、苛立ちなど。
○身体反応:刺激に対する身体の反応。発汗、震え、こわばり、動悸など。
○行動:刺激に対する行動。その場から動けなくなる/立ち去るなど。

【ワーク1】各反応の例を5つ以上あげてまとめましょう。

○認知:
○感情:
○身体反応:
○行動:

【ワーク2】最近の日常での出来事を2つ取り上げ、4つの反応をまとめてみましょう。

※ 自分が経験した出来事を取り上げてください。また、最近の出来事で整理が難しい場合は過去の出来事でも大丈夫です。

例題 出来事 :天気が良く散歩をした。
   認知  :「気持ちが良いな。」「良い天気だな。」
   感情  :快適、楽しい、すがすがしい。
   行動  :喫茶店による。
   身体反応:リラックスしている。

自動思考について

CBTにおける最大の目標は、自分で認知行動療法を使ってストレスに上手に対応し、自身をコントロールしていくこと、つま刺激に対する認知は、その時の状況に対して自分の意思とは関係なく自動的に湧き出てくることから「自動思考」ともいいます。

普段、私たちの感情や行動は、その時に浮かんできた「自動思考(考え・こころのセリフ)」の影響を受けています。 こころのセリフはものごとの受け取り方ともいえますが、受け取り方が変わると、感情・身体反応・行動などは変化していくと考えられています。

例えば、一気に仕事を頼まれたときに「こんなに一気にできるわけない!」と受け取ると感情は「苛立ち・焦り」などを感じるかもしれませんが、「まずやってみよう。難しそうなら相談すればいい。」と受け取れたとしたら、ある程度落ち着いて仕事に取り組めるかもしれません。

【ワーク3】ストレスを感じた出来事を2つ取り上げ、湧き出てきた「こころのセリフ」、その後の「感情・行動・身体反応」を整理してみましょう。

ポイント:自動思考は、出来事に対して瞬間的に出てきた言葉(セリフ)を拾い上げてみましょう。
①出来事:一度に複数の仕事を頼まれた。
②認知(自動思考):「こんなに一気にできるわけない!」と思った
③その後の反応
 感情:苛立ち、焦り、緊張。
 行動:仕事が手につかない。
 身体反応:体が熱い、冷や汗がでる。

ワーク1~3を実施しましょう

ワーク1~3を実施し、内容を報告メールで送ってください。Wordファイル等をメールに添付しても結構ですし、メールに直接書いて送っても構いません。

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