認知行動療法(CBT)第9回
第9回:見てみよう、聞いてみよう調査法
前回は自分を大切にできない考えや行動のメリットについて理解を深めていただき、ワークを取り組んでもらいました。今回は「見てみよう、聞いてみよう調査法」について取り上げたいと思います。
前回のホームワークを提出しましょう
損得分析を基に作った行動プランを実践した結果を確認しましょう。新しい考え方、行動は妥当でしたか?以前と比べてはどのような気持ちや行動の変化がありましたか?ふり返ってみましょう。
自分を大切に出来ない考えや行動のメリットに気づく
自分を大切にできない人は、知らず知らずのうちに悪循環にはまっていきます。過去に傷ついた経験があって、それで人の中に入っていくことを避けるようになって、その結果友達も減って、仕事ができない自分を責めて、それでまた「どうせダメだ…」と思って、また外に出られなくなって、、。
みなさんはこのようなことを体験したことはありませんか?この悪循環をどうしたらよいでしょうか。「聞いてみよう、見てみよう調査法」は、あなたの考えや感情、態度が適切であるかどうかを調べるために、他の人に聞いてみたり、観察してみたりする方法です。
例えば、人前で話す時に不安になるのはおかしいと思っているとしたら、家族や友達などに、自分と同じように感じているかどうか聞いたり、観察することで確かめます。そのような客観的な情報を基に自分の考え方のクセに気づくことができたり、どう考えたりふるまったりすれば自分を大切にできるのかといったヒントがもらえたりします。
以下の活用法を参考に取り組み方を確認してみましょう。
【ワーク1】見てみよう、聞いてみよう調査法をやってみよう
例を参考に、自分を大切にできない考えや行動について、ほかの人の意見を聞いてみましょう。聴くのをためらう人は観察してみましょう。そのうえで調査の結果、わかったこと、感じたことをまとめてみましょう。
※自分の想像したものや望んだ答えが返ってくるとは限りません。ひとつの意見、見方として捉え適度な距離感を持ちながら検討してみましょう。
(1)自分を大切にできない考えや行動のうち、聴き取り調査、または観察してみたいこと
(2)他の人の意見を聞いてみるか、観察してみましょう。(ホームワーク)
(3)調査して分かったことや感じたことをまとめましょう。(ホームワーク)
例)
自分を大切にできない考えや行動
○月○日 母に話しかけたらそっけない態度をとられ、何か自分は悪い事をしたかなあと思った。どうせ自分は価値のない人間なんだと考えた。
聞いてみよう見てみよう調査法
母が「今日は朝から頭痛がひどくて…」と話すのを聞いた。母は父にも、妹にもそっけないというより会話に専念できない様子だった。
結果(分かったこと・考えたこと)
「私だけにそっけないんじゃないんだ。見捨てられたわけじゃないし、直ぐにその様に決めつけるのは良くない。」
第三者視点で考える
メタ認知のワークで、メタ認知を行うためのコツとして「○○さんから見たら?」という問いかけをすると良いことをお話ししました。別の視点で考え、ものごとの捉え方の幅を広げることで、ひとつの考えから抜け出すきっかけが得やすくなるこの考え方は、「聞いてみよう、見てみよう調査法」と通ずるところがあると思います。
人から聞いたりその様子を見たりすることが出来ない時には、自分で考えを整理することも必要となります。改めて、自分を大切にできない考えや行動に対して、別の人の立場からその様子を見たと想定した場合、自分になんと言葉を掛けるか考えてみましょう。
【ワーク2】第三者視点で考えてみよう
自分を大切にできない考えや行動に対して、他者をイメージしその人なら自分にどのような言葉を掛けてくれるか考えてみましょう。その結果、考えたことや分かったことは何かまとめてみましょう。想像する他者は。家族や友人、スタッフでも構いません。ワーク1とは異なるエピソードまとめてみましょう。
例)
出来事:朝急な雨に見舞われ、帰りには車に水をかけられた。自分は不幸な人間なんだと思った
第三者視点:そんなとき仲のいい友人なら「立て続けでつらいことがあるなら、その次はいい事がある」と言ってくれるだろう。
結果:確かにこれだけ立て続けに嫌な事があるというのは逆に運があるのかもしれない。これ以上立て続けに嫌な事が起こることも少ないだろう。
ワーク1~2を実施しましょう
ワークを実施し、内容を報告メールで送ってください。Wordファイル等をメールに添付しても結構ですし、メールに直接書いて送っても構いません。
【ホームワーク】
ワーク1で決めたテーマについて、「聞いてみよう、見てみよう調査法」を実施して、分かったことや感じたことをまとめてみましょう。