解決志向トレーニング 第1回

解決志向トレーニング 第1回

第1回:解決志向のグランドルール

解決志向トレーニングは「解決志向アプローチ」と言われる心理療法の考え方を学んでいくプログラムです。 今回は解決志向の基本と、解決志向のグランドルールについて、学んでいきましょう。

解決志向とは

解決志向アプローチとは、目標や理想・ゴールなどの解決イメージを設定し、そこに向かって本人が持っている強みや資源を活かし、問題を解決していくアプローチです。

たとえば、家族や友人、職場(あるいはリエンゲージメント)の人間関係で悩んでいるケースを考えてみてください。

このような場合、「どうしてうまくいかないんだろう」「何がいけなかったんだろう」「○○さんのこういう行動が問題だ」「私が□□したのがまずかったかな」などと原因やダメな所について考えてしまうのが普通です。

しかし、そうやって悶々と考えても、自分を責めたり人のせいにしたりと不毛なことが多いものです。そんなときこそ、解決志向が有効になります。

解決志向では「私はどんな人間関係を作りたいのだろう」と問いかけ、そこに至るには何が必要かを考えていきます。

ちなみに、解決志向の「解決」は「問題解決」のことではありません。解決志向では、「問題」とは別のところに「解決」があると考えます。解決志向の「解決」とは、「新しく何かが構築されること」です。

Problem solving(問題解決)ではなくて、Solution building(解決の構築)であり、「より良き未来の状態を手に入れること」ともいえます。

○3つのグランド・ルール

解決志向には、基本的な考え方や方向性を示した3つのグランド・ルールがあります。解決志向は、この3つのルールに則って行われており、中心哲学といわれるものです。この中心哲学に従って考えることで、問題は自然と解決の方向へ向かっていきます。

    ルール1:うまくいっているなら、変えようとするな
    うまくいっていること、役に立っていること、結果が出ていることは変えなくていい、直さなくていいということです。うまくいっていることを、もっとする、続けることが鉄則です。別の言い方をすれば「余計なことはするな」ということです。大切なことは、(悪循環ではなく)良循環を増幅させることです。

    ルール2:一度でもうまくいったなら、またそれをせよ
    このルールは、解決志向を使って問題に取り組むときに、最もよく使われる解決法です。例外(少しでもよかったとき、問題が起こらないですんだとき、すなわち、すでに起こっている解決の状態の一部)を見ていくことが重要です。少しでもうまくやれていることに目を向け、それをまた行えるようになれば、″良循環″が増幅されます。

    ルール3:うまくいかないなら、何か違うことをせよ
    うまくいかないことを続けても、悪循環が繰り返されるだけです。私たちは、うまくいかないとわかっているのに同じことを繰り返してしまうことがよくありますが、それでは変化は起きません。また、何か違うことをするときに、「より適切」な方法を考えがちですが、まず「なんでもいいから」違うことをやってみることが大切です。何か違うことをすること自体が悪循環を断つことになります。

解決志向の基本は、うまくいっていることを増やすことです。

【ワーク】

これまでの人間関係や日常生活、仕事、学校などで、うまくいっていることを変えてしまったり、問題があるにもかかわらず同じようにしてしまったりしたことはないかふり返り、エピソードを書いてください。また、そこから気づいたことがあれば、それも書いてください。

(例)早起きをしたら体調と気分がとてもよく、「早起きは自分に合っているな」と感じられたのに、次の日からまた時間ぎりぎりまで寝て、午前中だるかった。
  ➡惰性で時間ぎりぎりまで寝ていたけれど、早起きが苦痛なわけではなかった。もっと自分の体に合うことをしてもよいと思った。

課題の提出はWord、またはメールに直接記入して提出してください。

【ホームワーク】

今、何か問題があってうまくいかないことがあれば、何でもよいので何かを変えてみてください。
いきなり難しい問題に取り組むよりも、まずはささいなことから始めて見ましょう。

(例)朝、起きるのがつらい➡寝る場所を少し変えてみる、めざまし音を変えてみる
   💡問題の原因を解決しようと思わずに、何でもよいので変えてみてください。

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