ストレスマネジメント第1回

ストレスマネジメント第1回

ストレスマネジメントとは

就労では勤怠の安定が求められます。そのためには日々のストレスをマネジメントすることが重要となります。この講義でしっかりと学習しましょう。

1.なぜストレスをマネジメントする必要があるのか?

49.3
いきなりですが、皆さんは、この数字がなんだと思いますか?

これは厚労省の調査で明らかになった、精神疾患を持つ人が1年間の就労を続けられる割合です。
簡単に言うと、100人の方が就労したら、1年続く人は49人と言うことです。

精神疾患を抱える方の約半数の人が、1年間就労が続かなかったということです。
下の図を見ていただくと良く分かると思うのですが、これは他の障害(知的障害、発達障害)の方に比べ、明らかに低くなっています。

さらに、下の図を見てもらうと分かりますが、精神疾患を抱える方の就労でも、障害者枠で仕事をする場合(いわゆるオープン就労)の1年間の就労定着率は64.2%で、一般枠で障害を開示しない場合(いわゆるクローズ就労)の1年間の就労定着率は27.7%と、定着率に大きな開きがあります。
なお、一般枠(クローズ就労)で就労したものの障害を開示した場合の就労定着率は45.1%となります。

下の図は離職理由の割合を示したものです。3か月以内に離職した方は業務遂行上の課題があったり、労働条件が合わないなど、いわゆる「マッチング」ができていないことによる離職が多いと思われます。

また、3ヶ月以降に多いのが、障害・病気によるためです。これは体調管理やストレス管理ができず、症状の再発が見られたことによる離職と考えられます。
また、人間関係の悪化による離職も多く、対人関係を構築する能力や対人ストレスの管理は重要と言えます。

2.ストレスとストレス反応、ストレスが引き起こす問題について

ストレスとは

ストレスとは元々は工学用語で、物質にひずみを生む力のことを指します。20世紀の心理学者のハンス・セリエによって、心や身体のひずみや、ひずみを生むような力のことを指すようになったと言われています。

ストレスという言葉には2つの意味があります。
(1)ストレッサー・・・ストレスの原因のこと
(2)ストレス反応…ストレスを受けた反応のこと

人間は、人生の中で様々な出来事(ストレッサー)に遭遇しますが、その遭遇した出来事が自分の対処能力を超えた脅威であると感じる時(認知的評価)に、ストレス反応と呼ばれる症状や行動を生じさせます。



これは、同じ出来事であってもそれを脅威と感じるかは人それぞれ違うということです。
そして、考え方を変えたり、対処能力を向上させることでストレスに対処できる-ストレスをマネジメントできるということです。

私たちの身の回りには、ストレスとなる要因が溢れています。下記の図の中のもので、あなたにも当てはまるものがあるのではないでしょうか。あなたにとってのストレッサーが何なのか、考えてみましょう。

(ワーク)1.自分のストレッサーについて考えてみよう。特に、就労時に問題となりそうなストレッサーは何か考え、書き出してみましょう。たくさんある人は、上位3つを選んでみましょう。

ストレス反応について

ストレス反応の時間的な変化をみていきましょう。ハンス・セリエは動物実験の結果をもとに、ストレスに対する抵抗力が普段の正常値に対し、どのように変化するかをみました。
そしてストレス反応を3つの段階 ①警告反応期 ②抵抗期 ③疲はい期 に分けました。


①警告反応期
ストレッサーが加わった直後の時期で、最初に抵抗力が低下するショック相を経て、抵抗力が高まる抗ショック相へと移行します。
ショック相ではストレスに出会って戸惑ってしまい、うまく処理できていない、名前のごとくショックを受けているというフェーズになります。
体温・血圧・血糖は低下し、抵抗力は弱まります。そして、ショックから態勢を整えようとします。アドレナリンが分泌され、「闘うか逃げるか」の戦闘態勢を整えます。交感神経の活動が活発となり、覚醒や活動水準が高くなります。

②抵抗期
副腎皮質ホルモンが分泌され、身体の抵抗力が高まります。ストレッサーに対して活動力を高め、バランスを保っている状態です。
この抵抗期は心身の活動が活発で、一定の安定が確保された状態と言えます。しかしどうにかこうにか防戦している状態で余裕があるわけではありません。

心理面に現れるストレス反応
不安・緊張・怒り・イライラ・興奮・混乱した状態・落胆・憂鬱な気分・不満・抑うつ

身体に現れるストレス反応
動悸・冷や汗・胃痛・下痢・手の震え・筋緊張による頭痛・頭重感・疲労感・食欲低下・不眠・めまい・ふらつき

行動に現れるストレス反応
遅刻・欠勤・ミス・アクシデント・口論・トラブル・飲酒量の増加・喫煙量の増加・事故・薬物

③疲憊期
ストレッサーが長時間持続すると疲憊期に入り、エネルギーの枯渇とともに生体の抵抗力は衰えていきます。心拍・血圧・体温などの生体反応が低下し、ストレス障害と呼ばれる様々な障害や疾病へと進んでいきます。ストレス障害には以下のようなものがあります。

・適応的障害:ストレスのために普通の生活に適応できない。不登校、出社拒否、ひきこもりなど
・精神的障害:うつ病や神経症など感情が不安定になり生活に支障が生じる。
・心身症:その発生と経過に心理的ストレスが関係している身体面の疾患
・燃え尽き症候群:仕事や生き方に献身的に打ち込んだが、期待した結果が得られないことによりもたされた極度の疲労と感情の枯渇状態を主とする症候群
・外傷後ストレス障害:通常の人が体験する範囲を越えた出来事を体験し、その反応として、持続的な恐怖感や無力感、記憶の障害、身体の不調が生じる。

(ワーク)2.ワーク1で書き出したストレッサーごとに起こりうるストレス反応を考えてみましょう。そして、ストレスのレベルごとにどのような反応が起きるかも考え、書き出してみましょう。

①ストレスレベル1:ストレスを感じているが、コーピング(対処法)等を用い、自分自身でコントロールができ、通常通りの仕事や通所ができる状態
②ストレスレベル2:ストレスがかなり強く、休憩したり、相談したり、ストレスを避けたりするなど対処が必要な状態
③ストレスレベル3:ストレスが非常に強く、休息が必要な状態

例)ストレッサー:長時間のデスクワーク
ストレスレベル1:頭痛、肩の凝り
ストレスレベル2:強い頭痛、眠気、だるさ、イライラ感
ストレスレベル3:強いだるさと眠気、悪心、集中できない

【ワーク(再掲)】

1.自分のストレッサーについて考えてみよう。特に、就労時に問題となりそうなストレッサーは何か考え、書き出してみましょう。たくさんある人は、上位3つを選んでみましょう。

2.ワーク1で書き出したストレッサーごとに起こりうるストレス反応を考えてみましょう。そして、ストレスのレベルごとにどのような反応が起きるかも考え、書き出してみましょう。

①ストレスレベル1:ストレスを感じているが、コーピング(対処法)等を用い、自分自身でコントロールができ、通常通りの仕事や通所ができる状態
②ストレスレベル2:ストレスがかなり強く、休憩したり、相談したり、ストレスを避けたりするなど対処が必要な状態
③ストレスレベル3:ストレスが非常に強く、休息が必要な状態

課題の提出はWord等をメールに添付するか、メールに直接記入してご報告ください。