解決志向2
第2回:理想の状態を明らかにする
前回は、解決志向トレーニングとは理想の状態を明確にし、そこに向かって本人が持っている強みや資源を活かし、問題を解決していくアプローチであることをお話しました。そして、解決志向の基本や3つのグランド・ルールについてご紹介しました。
今回は理想の状態を明確にすることについてお伝えしたいと思います。
理想の状態を明確にする
何か問題を抱えている時に、「すべての問題・悩みが解決したとしたら、どんな状態になるのか」と解決像を考えることで、今自分がするべきことをひらめいたり、既にできていることがあること(例外と言います)に気づいたり、解決への道筋が見えてくることがあります。
解決像には以下の3つのレベルがあります。
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🔶解決像の3つのレベル
①義務・必要(べき論のゴール、~すべき、~しなければならない)
②希望・夢・願望(~になればいいな、~したいな)
③必然的進行(当然そうなる、そうなっている)
第一水準は「義務」の水準です。「こうならなくてはいけない」「こうしなくてはいけない」という水準のものです。この言葉の後には「でも、したくない」という言葉がきてしまうことが多くなります。「~しなければならない」と思って物事に取り組むと、どんどん苦しくなっていきます。理想は義務感で実現するものではなく、自らの思いに発して作り上げられていくものです。
第二水準は「希望・夢」の水準です。「こうなりたい」「こうしたい」というものです。第二水準の「希望」の場合でも、「でも」という言葉があとについてしまうことがよくあります。「こうなりたい。でも、無理だろうな」と言うようにです。この水準でもなかなかゴールは達成されないし、解決像に近づくのは難しくなります。単なる夢にはリアリティーがないからです。
第三水準は、これは造語ですが「必然的進行」。「当然こうなっている」という水準です。この水準までゴールや解決象が発展してくると、かなりゴールに到達する可能性が高いと言われています。
解決像を考えるときは、第三水準の「当然こうなっている」というレベルでイメージしてみましょう。その時にはリアリティが感じられるように「何をしているのか」「どこにいるのか「何があるのか」「誰といるのか」「何が聞こえるのか」「何を感じるのか」と具体的に想像してみましょう。自分の感覚(五感)で感じられるイメージにしていくことが大切です。
前回のホームワーク
今、何か問題があってうまくいかないことがあれば、何でもよいので何かを変えてみてください。
いきなり難しい問題に取り組むよりも、まずはささいなことから始めて見ましょう。
どのようなことに対し、どのようなアクションをしましたか?また、アクションを実施した結果、なにが良くなったでしょうか?ワークを実施した感想を書いて、今回のワークと一緒に提出してください。
【ワーク1】~未来の自分と対話しよう~
タイムマシンに乗って、「就職数年後の自分の、ある日のひととき」を見に行きましょう。
就職数年後の自分は、どんな外見で、どんなふうに、誰と、どこで、何をして過ごしているでしょうか? 【どうなっているべき】とか【どうなっていたらいいな】ではなくて、【ビデオでその光景を映し出したら、何が見えるか】ということで書いてみましょう。
① 就職数年後の自分、未来の自分に会いにどんなところへ行くか決めよう!
・季節は?
・何月何日ごろ?
・その日の何時ごろ?
・場所はどこ?
②実際にタイムマシンに乗って行ってみよう!
・どんな格好をしていますか?(髪型は? 服装は? 他に身につけているものは?)
・まわりには誰がいますか?(上司ですか? 先輩ですか? 後輩の人ですか?)
・未来の自分はどんな自分ですか?未来の自分を見て何を感じますか?
・今見てきた未来の自分が逆タイムマシンに乗ってやってきました。未来のあなたは、今のあなたにどういう風な言葉をかけますか?
小さなゴールを設定する
理想状態を明らかにすると、進むべき方向が見えてきますが、それだけでは具体的な行動が出てこないこともあります。 そこで具体的な行動につながるゴール設定を行ないます。
大枠としての方向性と、具体的なゴールの両方あるほうが、解決策が出てきやすくなります。
ゴール設定のポイントは、できるだけ小さなゴールを設定すること(スモールステップ)です。
また、身近な具体的な行動にすることも大切です。すぐやることを具体的に決めるといいでしょう。
ゴール設定も3つのグランド・ルールに基づいて行うことが大切です。
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①うまくいっている部分は、それが継続するようにゴール設定をする。
②繰り返すことができる例外を探す。あるいは、理想状態の中から、すでに実現しているところや、すぐに実現できるものを探し、それを再度実現するようなゴール設定をする。
③今ある例外やリソース、ソリューションの中からゴールが出てこない場合は、今までやっていないことをゴールにする。やってみてダメだったら、すぐ別のゴールを設定する。
【ワーク2】
ワーク1の未来の自分に向かうために、まず何をしますか?
スモールステップで具体的な行動を考えてみましょう。
※課題の提出はWord、またはメールに直接記入でも可です。