フォーカシング指向アート(FOA)第1回

フォーカシング指向アート(FOA)第1回

第1回:KOL-BE

FOAとは『フォーカシング指向アート療法(Focusing Oriented Art Therapy)』と言われるセラピーの要素を取り入れて、アートを通して皆さんがご自分の体や気持ちの状態に気づきを得るために行うプログラムです。本来は、『療法(Therapy)』とつきますが、このプログラムでは自己理解や自己受容をメインとし、therapyの要素を大きく取り上げないことから、フォーカシング指向アート – FOA – と名付けています。

フォーカシング指向…とは

FOAのベースであるフォーカシング指向アート療法は、フォーカシング指向心理療法と芸術療法が融合されたものです。では、そもそも『フォーカシング指向』とは何なのでしょうか。

フォーカシング指向心理療法とは、自分の体や気持ちなど、自分の中にあり、感じられているものに焦点を当てていく心理療法です。


私たちは体の感覚や気持ちとして、『感じてはいるけど、言葉で説明するのは難しい』『言葉では表現しきれない』という状況になることがあります。

例えば、「モヤモヤする」であったり、「なんとなく変な感じがする」などです。これらの、『モヤモヤ』や『変な感じ』というのは私たちが体や気持ちでは感じているけど、言語化することがまだできていないもの「フェルト・センス」というものです。

フォーカシング指向心理療法では、このフェルト・センスをじっくりと見つめる・振り返っていく作業を行い、『今、自分にはどんな感じがあるのか』ということを見ていきます。

『フォーカシング』自体は日頃、誰でも行っているものだと言われています。私たちの気分や体の感覚もその一例ですが、本来言語として表現するものが難しいものが多くあります。ただ、それを「何かに置き換えて」「何かにたとえて」行うと、すんなりと表現できることがあります。例を挙げてみましょう。

『あなたを動物でたとえるとなんでしょうか?』

本来、私たちは動物ではないので、たとえることができないはずです。しかし、私たちは「自分を動物にするなら…」と問われたときに自分の見た目や性格など、ポイントになる部分をふり返って、「この動物とならマッチする!」と感じる・思ったものをお答えになられているのではないでしょうか。この心の中で行っている作業工程のことを『フォーカシング』と呼びます。

フォーカシング指向心理療法では、この『フォーカシング』という過程を使い、今の自分の状態に目を向ける、理解し、受け止めることをしていきます。主には心理面接での取り組みが多くありますが、他にも媒介を使ってフォーカシングしていくこともあります。

そして、その媒介の一つと言えるのが、今回のプログラムで行っている『アート(芸術)』です。

フォーカシング指向アート療法の考案者であるローリー・ラパポートは、「人は元来、自身の気持ちや状態を絵で描き残す能力を持っている」「それはエジプトの古代文字などからも言えること」と話しています。このプログラムでは皆さんのご自身の気持ちや体の状態に目を向け、絵で表現したり、工作をしたりすることを通し、自己理解を深めます。

実際のワークをやってみましょう

●準備するもの●
・紙または画用紙
・書くもの(鉛筆、サインペン、色鉛筆、クレヨンなど)

それでは、早速FOAのワークを実践してみましょう。まずは、実際に書き出す前のウォーミングアップです。

1.ウォーミングアップ

お手持ちのメモ帳などを使ってみましょう。今回はご自宅にあるものを使って頂ければ十分ですので、紙、ある方は色鉛筆やクレヨンをご利用ください。無い方はボールペンや鉛筆などで参加してみましょう。

紙に波線、ギザギザの線、ダッシュ、点、力強く太い線、優しく柔らかい線を描いてみましょう。大きさや角度、場所は自由です。


そこまで描けたらあとは自由に描いていって構いません。皆さんの気持ちや感じが落ち着くまでいろいろなものを描いてみましょう。

2.今のフェルト・センスをつかんで描く

皆さんの今の体の感じや気持ちを描いてみましょう。リラックスした姿勢を取り、何度か深呼吸をしましょう。そして、今の自分の体や気持ちにどんな感じがあるかを見ていきましょう。自分のその体の感じや気持ちにしっくりとくる色、形、線などを当てはめて探っていきましょう。なんとなくしっくりくる表現が見つかったら、それを紙に描いてみましょう。

3.KOL-BE

KOL-BEは、体の形を模したシートに自分の体の状態を色や線、具体的なもの(ミニチュアや水)などを使って表現するワークです。本来のKOL-BEは模造紙のような大きなシートでできており、様々なミニチュアを置いたり、砂や水などをかけても大丈夫なものです。

今回は簡単なバージョンとして、用紙のファイルを添付しています。自分の体の状態を頭の上から足の先までゆっくりと見つめていき、痛いところや固くなっているところ、柔らかいところ、熱いところ、少し冷えているところ、重いところなど、見つめていきましょう。

そして、その感じたものにしっくりとくる表現をあてはめていきます。一通り体の状態を見ることができたら、今度はKOL-BEの用紙内にそれを記入していきましょう。

KOLーBEのワークシートはこちらをクリックしてください
印刷が難しい方は、ノートやメモ紙などに同様の人型を描いて実施してみましょう。

4.今日のワークの振り返りをしましょう

フォーカシング指向心理療法では、自身の感じや感覚の理解を深めるための様々な問いかけ・質問があります。今回は、その中で6つの質問を出します。

皆さんが取り組まれたそれぞれのワークの振り返りを行う中で、特に自分が書いた絵の部分や色、線で気になるものを1つ選んでやってみてください。

もちろん、中には答えが出てこないものもあります。その場合には無理に答えを出す必要はありません。思い浮かぶものがあれば、それをメモなどに記入しておきましょう。

~質問・問いかけ~
①「これ」はあなたに何を伝えているのでしょうか?
②「これ」はいったい何でしょう?
③その状況の何が「これ」みたいなのでしょう?
④「これ」は何を必要としているのでしょう?
⑤「これ」とかけて、皆さんの今の状況ととく、その心は? (なぞかけ)
⑥「これ」と一緒にいましょう。何か浮かんできますか?

【ワーク】上記のワーク1~4を実施しましょう

可能な方は描いたものをPDFや写真で送ってください。PCファイルのペイントを使って作成し、そのデータを送ってもらう形でも構いません。振り返りをした内容についてはWord形式、またはメールに直接書いて送付してください。

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