精神障害者*1は、なぜ仕事を続けるのが難しいのか?① ブログ

精神障害者*1は、なぜ仕事を続けるのが難しいのか?①

皆さんこんにちは、リエンゲージメントです。
4月の新年度を前に就職マーケットが活性化しています。皆さんの就職活動は順調でしょうか?
未だ決まっていなくても焦らずに活動しましょう。
4月1日を境に雇用募集が極端に減るようなことはありません。
例年6月ころまで採用活動は活発に続いていきます。
今回は、精神障害者が仕事を継続するのが難しい理由を扱っていきます。
精神障害には個別性*2があるので、継続が難しい理由は様々です。
そのなかで、就労継続が困難となった人たちに共通していた理由を3点に絞って解説していきます。
これから就職される皆さんに、早期離職を予防する発想で読んでいただければと思います。
どうぞよろしくお願いします。
 
1.就労までの準備期間が短すぎた
2.一緒に働く人たちに、自分の特性を理解してもらう行動をしなかった
3.援助希求能力と援助要請行動を発揮できなかった
 
1. 就労までの準備期間が短すぎた
 精神障害がある場合、就労までの準備期間は最低1年から2年は必要になります。
 その理由として、4つの側面の準備性を高める必要があるためです。
 
 1つ目は生物的な側面です。働くためには心身の健康が維持され、毎日の生活リズムが整っている必要があります。
 精神疾患は服薬治療で精神の状態が安定してきますが、それだけで毎日健康に生活できるようになるわけではありません。
 精神の状態が改善されたら、自然と夜眠れるようになって、バランスの良い食事が摂れて、思い通りに行動できるようになるわけではないのです。
 質の良い睡眠やバランスの良い食事、疲れずに行動できる体力は、トレーニングによって獲得されるものです。
 服薬で精神の状態を改善することは、トレーニングに取りかかるための前提条件になります。
 
 2つ目は心理的な側面です。服薬で改善できるのは今の精神の状態であって、過去のつらい出来事を消すことや、未来の不安を除去することができるわけではありません。
 過去の出来事を思い出すことで辛くなる状態は、それを止める必要があります。
 未来のことを考えることで不安に押しつぶされるような状態は、それを抑える必要があります。
 自身の症状に合った心理療法で、安定した心の状態を取り戻してから働きましょう。
 
 3つ目は社会的な側面です。社会的な側面には、人間関係と経済事情が含まれます。
 精神障害枠社員の早期退職理由には、症状悪化によって就労継続が難しくなったケースの他に、人間関係と経済事情の悪化によって継続が難しくなったケースも多く見られます。
 人間関係の悪化は、単なる挨拶やそのタイミングを逸しただけが原因ではなく、仕事をしている最中に出るクセや、持っている共通認識の違いなどが原因になる場合があります。
 挨拶やタイミングを計るだけならば、SSTトレーニング*3などで対応できますが、仕事中に出る自身のコミュニケーション上のクセや他者との共通認識の違いから誤解が生まれている場合には、ワーク・シミュレーション*4で明らかにする必要があります。
 経済的困窮に関しては普段の状態で起こることありません。起こるのは、急激なストレスがかかったときの散財が原因です。
 状態が悪くなったときのお金の管理をどうするかは、安定している状態のときに決めておく必要があります。
 
 4つの目は職業的な側面です。これは自身の職種に必要なすべてのスキルが含まれます。
 専門的職業スキルの獲得が目的となりますが、それに加えてタイムマネージメントの習得も必要な課題です。
 一定時間の中で処理をするスキルを、就職した後の業務の中で獲得するのは難しいです。
 就労準備期間中に獲得するトレーニングが必要となります。
 
2.一緒に働く人たちに、自分の特性を理解してもらう行動をしなかった
 これは自身の疾患や特性をオープンにするか、クローズにするかという意味合いではなく、
 特性をオープンしているものの、一緒に働く人たちには理解されていないという状況です。
 一緒に働く職場の同僚には、どんなときに、どんな症状が出るかを伝えておく必要があります。
 障害枠社員を受け入れる同僚にとって一番困る状況は、障害枠社員に対してどんな配慮や支援をすればよいか分からないということです。
 よく分からない状況で、受け入れ側の同僚が自身の判断で支援をすることはありません。
 支援や配慮をしたくても、何をしてよいのか分からないために、障害枠社員を静観してしまう状況が発生してしまうのです。
 障害枠社員として継続的に働くには、一緒に働く人たちの理解の上で協力をしてもらうことが前提となります。
 理解を得るには口頭で説明するよりも、仕事の場面ごとにお願いしたい配慮を文章にして作成しておきましょう。
 新たに配慮してもらいたい事項が発生したら、上長に許可をもらって、そこに加筆するのです。
 理解の上での合意形成が、双方にとって働きやすい状況をつくります。
 
3.援助希求能力と援助要請行動を発揮できなかった
 援助希求能力とは援助を求めるスキルを指し、援助要請行動とは他者に援助を求める働きかけを指します。
 簡単なスキルと行動に思えますが、発揮できないのはそれぞれ原因があるためです。
 援助希求能力のベースとなる力は、幼少期の家庭の中で教育として養われます。
 幼少期に家族から 「安易に他者に頼るな」 という教育を受け続けると、他者に頼ることは悪いこととして記憶されるために、この能力を発揮しづらくなります。
 援助要請行動を発揮できない理由の1つはスティグマ*5です。
 自分が要請行動をとることで、社内で不利な立場や状況になると考えてしまうことがスティグマの特徴です。
 幼少期の偏った教育とスティグマを乗り越えていくことが、このスキルと行動を発揮する条件となります。
 
今回は、精神障害者が仕事を継続するのが難しかった理由を、就労準備期間の短さ、周囲への働きかけ不足、援助要請行動の不足の3点でお伝えしました。
リエンゲージメントでは、就労準備期間の中で必要な課題を利用者と一緒に考えています。
就職までの準備期間には多くの課題がありますが、心理、ソーシャルワーク、キャリアの各専門家が協力して利用者をサポートする体制を築いています。
お一人での就職活動に不安や課題がある方はリエンゲージメントに見学にいらしてください。ご一緒に考えてみましょう。
     ― 以上 ―
  
*1 精神障害者        精神障害者保健福祉手帳を持つ人と定義しています。
*2 個別性          障害者1人1人の身体的、心理的、社会的背景の違い。
*3 SSTトレーニング      対人関係や社会で必要なスキルを身につけるためのトレーニング。
*4 ワーク・シミュレーション 実際の職場を再現して行う模擬会社や勤務体験。
*5 スティグマ        負の烙印。否定的なレッテルを貼られて不当な扱いを受けること。

   

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