精神障害者*1が採用面接を受けるときの3つのポイント
皆さんこんにちは、リエンゲージメントです。
年が明けて就職マーケットが徐々に活性化してきました。皆さんの就職活動は順調でしょうか?
今回は、精神障害者が採用面接を受けるときに気をつけるポイントを3点に絞ってお伝えしていきます。どうぞよろしくお願いします。
1.面接前に、自身の特性をオープンにするか、クローズにするかを決める
2.面接中に緊張したときは 「緊張しています」 と言ってしまう
3.面接中は、合理的配慮*2よりも自助努力*3を優先して話す
1.面接前に、自身の特性をオープンにするか、クローズにするかを決める
これは面接を受ける皆さんが迷うところです。全てオープンにする、あるいは全てクローズにするよりも、部分的なオープン、部分的なクローズが基本となります。オープンにするところと、隠すところを分けるということです。オープンにすることが必要なのは、面接を受ける企業からの合理的配慮が必要な場合です。自身の特性に聴覚過敏があるとしたら、業務中のイヤーパッドの使用許可が必要になります。聴覚記憶の弱さがあるとしたら、口頭指示をメモやメールでの文字での指示に変えてもらう必要が出てきます。マルチタスクで混乱する特性があれば、シングルタスクでの業務プランをつくってもらう必要があります。このように企業側の合理的配慮が必要な場合は、自身の特性をオープンにしましょう。
クローズするのは、担当業務をする上で合理的配慮が必要とはならず、担当業務に影響が出ないことが条件になります。内容としては話すことで辛くなる過去のできごとや、家庭での虐待体験、学校でのいじめ被害体験、入院歴、家族の不和や離散などがこれに当たります。就職するために、過去の辛かったできごとを想起する必要はありません。これは障害者枠*4で就職する場合も、一般枠*5で就職する場合も変わりません。「いま、ここ」 で影響が出ているかどうかが重要なのであって、仕事をする上で影響しない過去のできごとを話す必要はないのです。通院しているクリニックや利用している福祉施設では、治療やトレーニングを目的として全ての情報を話しますが、就職する企業への情報提供は限定的でよいと捉えてください。
2.面接中に緊張したときは 「緊張しています」 と言ってしまう
面接中に緊張するのは、初めて訪れる場所で初めて話す人の前では、心理的安全性が担保されないためです。今時点で面接となると緊張して身構えてしまうようであれば、緊張を取るために何度も練習するようなことは止めましょう。緊張を和らげるトレーニングは、時間コストがかかる割に効果が薄いです。やればやるほど面接への自信を失うリスクもあります。緊張を取るのではなく、緊張した状態であっても、面接者に自分の意見や想いを伝えられるような対策をしていきましょう。
面接試験で 「緊張していた」 という理由で不合格になることはありません。面接で不合格になるのは、緊張が原因で何も喋れなくなったときと、緊張が原因で結論のない話を延々続けてしまったときです。被面接者にこの2つの現象が出ると、面接者は 「フルタイムで勤務するには未だ早い」 と判断し不合格とします。
面接者の質問に対して頭が真っ白になって何も言葉が出てこなくなったときは、「緊張しています、すいません、頭の中を整理してみます」 と言いましょう。何も言わずに黙り込むことを避けるのです。そうひとこと言えば、面接者はいくらでも待ってくれます。黙り込むのと、ひとこと言ってから考えるのは、面接者側の評価が違ってきます。被面接者の 「緊張しています」 という言葉を、面接者は、自身の状態をモニタリングして相手に伝えるスキルがあると判断します。企業が障害者採用に関して重視している点に、主体性と報連相があります。自ら自身の状態を相手に伝えられることは、主体性と報連相のスキルがあると判断されるのです。
3.面接中は、合理的配慮よりも自助努力を優先して話す
これは単に話す順番の問題です。面接では、今まで就労移行施設で自身の特性と向き合ってどんな努力や工夫をしてきたかを、自助努力として話します。その上で、自身の努力や工夫を超える範疇のタスクは、企業側に合理的配慮をお願いするという流れです。ハンディキャップを持つ被面接者が、それを是正するための合理的配慮を求めることは法律で認められています。ただ、自身の特性を話すことに夢中になって、一方的に合理的配慮だけを求めるような態度にならないように気をつけてください。
ほとんどの企業が障害者枠社員に共通して求めるのは、安定した勤怠、主体性、報連相(コミュニケーションスキル) の3点です。安定した勤怠というのは、毎日出勤できるという分かりやすい基準ですが、主体性という言葉は抽象的で解釈が難しいです。私が企業採用者と話した中で感じるのは、自分でできることは自分でやるというニュアンスです。「 先ずはご自身で努力してみてください。それから必要な相談をしてください」 といった感じです。
今回は採用面接を受けるときのポイントを、自己開示の範囲、緊張の取り扱い、自助努力を優先することの3点でお伝えしました。
リエンゲージメントでは、面接練習を繰り返して緊張しないように本番に臨むことよりも、緊張した状態であっても自分の意見や想いを伝えられることを重視しています。
お一人での就職活動に不安や課題がある方はリエンゲージメントに見学にいらしてください。ご一緒に不安や課題に向き合いましょう。
― 以上 ―
*1 精神障害者 精神障害者保健福祉手帳を持つ人と定義しています。
*2 合理的配慮 障害がある人の社会的障壁を取り除くために企業側が対応すること。
*3 自助努力 他者を頼らずに自力で物ごとを成し遂げようとすること。
*4 障害者枠 障害者手帳を持つひとの採用枠。
*5 一般枠 障害者手帳を持たないひとの採用枠。