自己肯定感を高めるセルフ・コンパッション
今回は、企業の研修でもおこなわせるようになってきているセルコンパッションについて紹介します。
セルフ・コンパッション(Self-compassion)とは
アメリカの心理学者でセルフ・コンパッションの第一人者であるクリスティン・ネフ(Neff、 K. D.)は3つの構成要素(「自分への優しさ(self-kindess)」「共通の人間性(common humanity)」「マインドフ ルネス(mindfulness)」)について説明しています(2003a、 2003b、 2009、 2016)。
1つ目の自分への優しさは、自己批判をせずに、自分自身に愛情を注ぐ情緒的な反応です。
2つ目の共通の人間性は、辛いことは自分の身にのみ生じると思わず、誰しもが不完全な側面を持っていると、他者との共通性を意識するという認知 的な理解の仕方です。
3つ目のマインドフルネスは、否定的感情に流されず、そのような感情や直面している苦難がどのようなものであるかを客観的に捉えるという注意の向け方です。
そしてネフは構成する3つの要素について、それぞれが概念的には異なり、独立したものであるとしながらも、相互に影響し合っていると述べています。
セルフ・コンパッションが身についていれば、自分の状況を客観的にとらえ自己肯定感を高めることができ、ストレスに対してもポジティブに立ち向かうことができるようになっていきます。
セルフ・コンパッションを養うことを目的とした心理教育や心理療法の代表的なプログラムとして
マインドフルネス・セルフ・コンパッション(MSC)、コンパッション・フォーカスト・セラピー(CFT)、GRACEがありますので簡単に紹介をします。
MSC(マインドフル ・セルフ・コンパッション)は、セルフ・コンパッションのスキルをトレーニングするための心理教育プログラムです。
セルフ・コンパッション分野の先駆的研究者であるクリスティン・ネフ博士(テキサス大学オースティン校)、マインドフルネスと心理療法の専門家であるクリス・ガーマ博士(ハーバード大学)によって2010年に開発されました。MSCは、マインドフルネスとセルフ・コンパッションのスキルの融合により、感情的なレジリエンスや精神的ウェルビーイングを高め、より健康的に人生を過ごすことを目指します。 (Mindful Self-Compassion Japanサイトより)
コンパッション・フォーカスト・セラピーは、恥や自己批判といった心理的問題を解決するための心理療法としてイギリスで生まれた統合的な心理療法です。進化心理学、社会心理学、発達心理学、仏教心理学、神経科学などから影響を受け、Paul Gilbert博士によって開発されました。
恥や自己批判に苦しむ人々は、安心や安全といった感情を得るために苦しんでいます。
過去の研究からは安心や安全といった感情は特定の情動制御システムに支えられていることが分かっていますが、どうやらこのシステムは、愛着システムや気持ちを落ち着かせたり幸せを感じるといった能力とともに進化してきたようです。
コンパッション・フォーカスト・セラピーでは、この情動制御システムにアクセスすることが難しい人々が、高い恥と自己批判を経験すると考えます。彼らはむしろ、恥や自己批判と関連した脅威の情動制御システムが働いてしまうのです。その状態を解決していくカギとなるのは「思いやり」や「慈悲心」に満ちた自分を作っていくことです。
コンパッション・フォーカスト・セラピーでは心の中の安心感や温かさを経験することで心理的問題を改善していきます。(コンパッショネイト・マインド研究センターサイトより)
GRACEとは、ジョアン・ハリファックス老師が、ケアする自分自身のあり方や死生観について体験的に探求する「Being With Dying – 死にゆく人と共にあること」というプログラムを、最新の脳科学や認知科学の成果に基づいて整理し、コンパッション(compassion:慈悲心・思いやり)に根ざしたケアのあり方を育むために構築されたトレーニングです。(日本GRACE研究会サイトより)
リエンゲージメントでは、利用者さん向けに年に数回、セルフコンパッションの考えを取り入れたプログラムを行っております。
無料見学相談を随時受け付けておりますので、ご興味がありましたら、お気軽にお申し込みください。
お待ちしております。