複合的な視点で捉えるインテグラル理論
~・インテグラル理論を生かす・~
今回は、「インテグラル理論」について紹介をしていきます。
「インテグラル理論」は、トランスパーソナル心理学者であるケン・ウィルバーによって提唱された「自然科学」「社会科学」「人文学」といったあらゆる学問を統合し、包括的に考察しようという考えから生また理論で、これまで研究されてきた多様な「発達心理学」を調べ比較し統合したもので、5つの構成要素から成り立っています。
構成要素の1つ目は「象限」です。象限とは、私たちが物事を捉えるときの視点を表しています。象限は4つの領域に分けられることから、「4象限(心理的現象、文化的現象、行動的現象、社会的現象)」と呼ばれます。私たちは、常に4象限のうちいずれかの視点に立っているといわれています。自分がどの視点で物事を捉えているかを認識することにより、自身の先入観や思考の偏りに気づきやすくなっていきます。
2つ目は「レベル」です。インテグラル理論では、人は成長していくものと捉えています。この成長過程の発達モデルを「色」((利己的段階(レッド)、神話的段階(ブルー)、合理的段階(オレンジ)、多元的段階(グリーン)、統合的段階(イエロー))で表します。インテグラル理論では、物事の解釈は成人してからも成長を続けるものと考えています。
3つ目は「ステート」です。前に挙げたレベルが意識段階であるのに対して、ステートは「意識状態」を表します。意識状態は流動的であり、常に変化し続けています。インテグラル理論では、意識状態を「自然な意識状態(起きている・夢を見ている・深い眠りについている状態)」と「変性意識状態(酩酊・熱狂・瞑想・祈りなど通常とは異なる意識状態)」に分類します。私たちの意識はこれらのうち1つに留まり続けることはなく、同時に複数の状態となることもありません。目覚めている状態だけが現実とも限らないとインテグラル理論では考えています。意識段階を発達させていくだけでなく、意識の「状態」も探究していく必要性を説いています。
4つ目は「タイプ」です。インテグラル理論は、人の認知や発達段階に優劣をつけず人の性格や行動類型にはさまざまなタイプがあり、多様性や差異を加味して捉えることが重要性と考えています。
5つ目は「ライン」です。ラインとは、人の多様な能力を分類して捉える考え方です。レベルはその人の中核をなす特性を表しており、能力や資質全体を明らかにするものでもありません。多様な能力領域において、強みもあれば弱みもあるのが実情です。そのため、「レベル」と「ライン」を組み合わせ、それぞれの能力領域を複合的な視点で捉える必要があります。このように人には得意・不得意があり、能力や発達段階は「まだら状」であると考えています。
ケン・ウィルバーは著書「インテグラル理論」の中で、「発達研究の核心にあるのは、人々を固定した枠に押し込むことでもなければ、人々の優劣を判定することでもないのだ。そうではなく、発達研究とは、ひとつの指針であり、どんな潜在的能力が未だ活用されていないのかを明らかにしてくれるものなのである。」と、語っています。私たちの中にある個性豊かな潜在的な能力に気づき、生き生きとした人生を歩むために「インテグラル理論」を学び、取り入れていきたいと思います。
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