社会神経系とは?
一方で夏はクーラー等で室内が思いのほか寒いということが多いです。
着たり脱いだり体温調節がしやすい格好を心がけましょう。
さて、今回は『ポリヴェーガル理論』という自律神経に関する新しい理論をご紹介したいと思います。
名前だけを聞くととても難しそうに感じますね。思わず読み飛ばしてしまいたい!という気持ちになった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、ポリヴェーガル理論は人間という存在を理解する新しい理論です。
ぜひ、ご自身の状況や状態を理解・判断する1つの考え方として役立ててみてください。
従来、自律神経系とは交感神経と副交感神経のことをいい、両者のバランスによって常に身体を一定に保っていると考えられてきました。
しかし、ポリヴェーガル理論を提唱したポージェスさんは交感神経と副交感神経に加えて、『社会神経系』という新しい神経系で自律神経系は成り立ち、この3つの神経系が一体となって環境への対応や危機管理のシステムとして働いていると考えたのです。
では、この新しい概念、社会神経系とは何なのでしょう?
これは他者と関わること、コミュニケーションを取るための神経系のことをいいます。
つまり、私たちが話したり、聞いたり、表情を作ったり、物を食べてそれを共有したりといった社会との関わりを持つための反応を司る神経の塊のことです。
ポージェスさんは、人間が社会的な動物であると身体的なレベルですでにインプットされていると考えたんですね。
この社会神経系が司る『社会的関わり反応』は動物の進化の中で1番新しいものであり、哺乳類や霊長類にしか備わっていません。
ちなみに動物の進化の中で2番目に新しい反応を司るのは交感神経の『闘争or逃走反応』です。
この時、私たちは危険な感じがしたりパニックになったり衝動的になったり競争的な思考に陥ったり極度に警戒したりします。
そして進化的に1番古い反応を司るのは副交感神経の『フリーズ反応』です。
動物で言うと、息をひそめ、動きを制限し、危険が去るのをじっと待つ反応のことですね。
もちろん人間にも『フリーズ反応』は起こります。
その時、私たちは無感覚になり感情が麻痺し、何もかもが不可能に感じたり、死んだような状態に感じられたり他者との連携感が感じられなかったりします。
これらの反応は生命が危機に直面した際に引き起こされる自分を守るための本能的なものであり、基本的にはより進化の段階が新しい神経系で対処していきます。
つまり人間は社会神経系の『社会的関わり反応』で対処できなかった場合は交感神経系の『闘争or逃走反応』、それでも対処しきれなければ副交感神経系の『フリーズ反応』で対処していくのです。
交感神経由来の『闘争or逃走反応』も副交感神経由来の『フリーズ反応』も身体が自分を守るための立派な反応です。
しかし、毎度毎度『闘争or逃走反応』で物事を対応していたら多くのエネルギーを浪費してしまいます。
『闘争or逃走反応』が続くということは脳にとって生命の危機が去っていないということを意味します。
脳はエネルギーが大量に消費されたことを受けて生命体としての最終手段、『フリーズ反応』による対応を余儀なくされます。
もうエネルギーが残されていないため、危機が去るのを待つしか選択肢が残されていないのです。
これでは健康維持にまでエネルギーがまわりませんし、自律神経のバランスも崩してしまいます。
そのために私たち哺乳類・霊長類が進化させたのが社会神経系なのです!
社会神経系が機能しているとき、私たちはゆったりと話して穏やかな表情や態度を取ることができるのでゆったりと構え、落ち着いていられます。
この適度に覚醒し、ゆったりと構えていられる状態ということは、理論的に考える余裕があるということを意味します。
また、ある程度のことはユーモアを交えて回避したり、笑って受け流したりと穏やかに対処することができます。
この“ストレスにある程度耐えらえる”という『耐性領域』が広ければ広いほど、交感神経も副交感神経も危険への対処をする必要がないので健康を維持したり身体の成長のために働くことができます。
逆に耐性領域が狭いと、すぐに『闘争or逃走反応』に入ってしまいますし、そして『フリーズ反応』に入っていってしまいます。
交感神経が過剰に優位になり不眠や動悸、イライラで悩んでいる方、あるいは副交感神経が過剰に優位になりすぎて身体のだるさや気力の低下、気分の落ち込みで悩んでいる方はこの『耐性領域』を広げる試みをしてみるといいかもしれませんね。
では、どのようにして『耐性領域』を広げればいいのでしょう?
その方法は実はとても単純なことなのです。
優しい眼差し、にこやかな表情や笑顔、優しい言葉や声、優しい雰囲気を心がける、背伸びをしてあくびをするなど、社会神経系を刺激することで耐性領域は少しずつ広くなっていきます。
これは筋力トレーニングとよく似ていますね。
しかし、筋力トレーニングとは違い、一人で練習するには限界があるかもしれません。
ぜひ、人との関わりの中でトレーニングを積んでいきましょう^^
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