考え続ける 動き始める
館の周りは深い森で覆われ、ここから動くのは大変危険に思えた。
どうすれば良いかわからず、考えているうちに日が暮れてしまった。
黒の部屋に行くのは嫌な気がしたし、白の部屋に行っても仲間に入れるかわからない。
ここに長く滞在するかもわからないのに、仲間に入れてもらうのも気が引ける。
今日は誰もいない広間で寝かせてもらって、明日また考えよう。
次の日、私はまだ迷っていた。
この森の出口もわからないのに進んで行って良いものか。
白い部屋へ行って仲間に入れてもらおうか。
「誰か助けに来てくれればいいのに!」
この日は答えが出ず、館に泊まることにした。
次の日、私はまだ迷っていた。
森を抜ける算段が立たないからだ。
森の全体像が掴めないせいか、いくら考えても答えが見つからない。
「せめて森の地図さえあれば!」
この日は答えが出ず、館に泊まることにした。
次の日、私はまだ迷っていた。
空腹でしっかり考えることが出来なくなっていたから。
「しっかり考えることさえ出来れば もうすぐ答えが出そうなのに!」
この日も館に泊まろうと考え始めていたころ、館の主が帰ってきて、敷地から追い出されてしまった。
「あと一晩だけでいいので泊めてほしい!」
「森の外まででいいので送ってほしい!」
「少しでもいいので食べ物がほしい!」
「せめて森の抜け方を教えてほしい!」
頼んでみたが、聞く耳さえ持ってもらえなかった。
敷地の外に出ると、森はいっそう不気味に感じられた。
だが、もう館に戻ることはできない。
仕方なく歩き出すと、周りでガサガサと音がし、光るものがうごめいていた。
「恐ろしい!早く森を抜けないと!」
無我夢中で走った。
道が合っているのか、道があるのかさえ わからずに走った。
森をいつ抜けられるかも わからずに走った。
「とにかく森を抜けるんだ!」
無我夢中で走った。
全力で走った。
走っていれば いつか抜けられるはずだと信じて。
どれくらい走っただろう。
あたりは明るくなり始めていた。
明るく?
そう、森を抜けていたのだ!
それに気づいた私は、昇り始めた太陽の光を全身で浴びていた。
そのとき、
カーテンの隙間から入ってきた朝日で目を覚ました私は、すがすがしい気持ちで今日を迎えられたことに感謝し、今日という一日を始めることにした。
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いつでも答えは自分の中にあります。
一緒に探していきましょう。
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